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皮肉なもので

皮肉なもので

私のクライアントの一部に、ある一定の金額を超えると手形で支払う企業があります。

そのほとんどが大手企業なので、割るにしても銀行が喜んで引き受けてくれますから何の心配もないのですが、この銀行の担当者がよくウチにやってきます。

何をしにくるかというと、借り入れをしてくれといったお話なのですが、私は基本的に無借金経営しかしていませんので毎回お断りするのです。

無借金経営というと、ほとんどのオーナー仲間は驚きますが、別に難しい事じゃない。

支出を抑え、仕事も無理はしない。

こんな私も以前は銀行から借り入れをして事業の資金を賄っていた時期があります。

それは、オーナー仲間からの一言「商売をするなら銀行と信頼関係を築いておく事だ」と言われたのがきっかけでした。

当時の私にはこの意味が分からず、しつこいくらいに聞いたものです。

「銀行と信頼関係って何?」

「それがないと、困った時にお金が借りられないの?」

会社を辞めて、ろくに経営を知らずに事業を興したものですから、何が健全かも銀行との信頼関係が一体何を指すのかも分からないまま、仲間に言われた言葉をそのまま素直に受け取った私は早速、取引のあった銀行に行きました。

「資金の用途は何ですか?」と聞かれるものの、別に用途なんてありませんので「車でも買おうかと」といった具合。

結局、資金自体はスムーズに借りる事ができましたが、この時不思議な感じがしました。こんな大金が簡単に借りられるんだと。

車を買う予定などないので、借りるだけ借りて毎月の返済をそこから引き落とすようにしましたが、これで銀行との信頼関係を築くとは、私の頭ではやはり理解ができません。

事業はその後数年間はスムーズにいったものの、この時代、やはり苦しい時はありました。

改めて、以前借りた銀行に行き、事業の回転資金の相談です。

必要な書類、決算報告書などを持って行きましたが、なぜか以前とは違い難しい顔をしています。

理由は簡単で、業績が思わしくなかったからですが、業績が良い時にお金を借りたい人などいるのでしょうか。

悪い時にこそ必要なもので、無用な時には借りてくれとしつこいくらいにやってくる。困った時には知らん顔。

現在は無借金体質に戻り、なんとかやっていますが、こうなると皮肉なものでまた「借りてくれ」なんですよね。

私の口癖は「困った時にはまたお願いするよ」ですが、そんな日が来ない事を祈るばかりです。

皮肉なもので